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「あの…」
「なんですか?」
雪斗は緊張していた。
原因は、擦れ違う隊士達から、自分の前を歩く人が挨拶された事だった。
「組長、お疲れ様です!」
「お疲れ様、稽古頑張ってね」
そう。
自分とあまり歳は離れてないだろうと思っていた青年は、隊士達に“組長”と何度も呼ばれていた。
…と、言うことは。
この人は新撰組の中でも、上の人なのだろうか。
「あの、お名前聞いてもいいですか?」
「沖田総司ですが、どうかしましたか?」
…沖田総司?
…って、一番隊隊長?!
「あ、えっと…いえ、何も…」
「…?」
いや、今のは怪しいか?
元々怪しいと思われてるのに、これ以上不審者にはなりたくない為、思った事を話した。
「…ただ、皆さんが組長と呼ぶので」
「あぁ、僕隊長に見えないですよね」
「あっ、いえ!…そういう意味じゃ…」
「気にしてないんで、大丈夫ですよ」
そう言って口元に微笑みを浮かべる沖田に、雪斗は不覚にも見とれてしまった。
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