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明日は良い天気になりますように、というリタの願いを、神様は今日も叶えてくれなかった。
空はどんよりと暗かった。灰色の厚い雲が太陽の光を遮ってしまっている。
リタは青空を期待してベッドから起きあがったのだが、窓から外を覗くなり、たちまち残念そうに息を吐く。
「あーあ、また今日もこんな天気なんて」
今年で12歳になるリタは、しかし年齢の割にかなり小柄だった。
窓から外を覗くにしても、精一杯背伸びをして、やっと鼻先が窓枠を越えるくらいだ。
体重を支えきれずに両の爪先がぷるぷると震え始めた時、下からリタを呼ぶ声がした。
リタは上ずった声で返事をすると、慌てて服を着替え、部屋を飛び出した。
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