4人が本棚に入れています
本棚に追加
スプーンを握る小さな手が忙しなく動くのを、女性は洗い場から横目で見ていた。
小皺の刻まれた目元は恐ろしくも優しくもない、酷く無感情なものだった。
「そう急がなくてもいいんだよ」
リタはその言葉を無視した。彼女の言うままゆっくり食べていたら、どやされるに決まっている。
時間が経って冷えたパンは少し固かった。
色の悪い野菜と小粒の豆が申し訳程度に入った味の薄いスープでパンを押し込んで、コップの水を飲み干す。
時間をかけずに食べ終えたリタは空の皿を洗い場へ持っていく。隣で、女性が何かを炒めていた。
漂ってくる美味しそうな匂いに、つい今しがた食べ終えたばかりだというのに、リタは反応せずにはいられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!