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窓から外を伺うように爪先を立ててその手元を覗きこまなくても、リタにはそれが何であるかが分かる。
今朝畑から採ってきた新鮮な野菜と、家畜から絞ってきたばかりのミルク、焼き立ての香ばしいパン。
あともう少しすれば、この美味しそうな食事がテーブルに並ぶ。
だが、それらは絶対にリタの口には入らない。
そのことを痛いほど理解していても、リタの目は美味しそうな食事に奪われた。
「なにしてるんだい」
ぎろり、と睨まれて、リタは慌てて目線を外した。
同時に自分がとても物欲しそうな顔をしていたことに気付く。
彼女――リタの養い親は、それをなにより嫌うのだ。
「ごめんなさい。……水を汲みに行ってきます」
「寄り道するんじゃないよ」
はい、と、消えそうな声で返事をした。
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