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リーフと呼ばれる赤い髪を持つ男は、弱々しく「無理ですよ」と呟いた。
「僕は‥」
「では、“命令”に縋るしか私には残されていないね」
「‥命令だなんて‥」
切なくこちらを見る青い瞳は、ゆっくりと細めた。
「私と妻の想いが娘に託されているんだよ。私は、娘を守ると妻に約束したが、それは果たせない。だから、君に頼るしかできない。私の命を君にくれてやる。だから…」
国王陛下が意味深にリーフという男の手を握り、そして小さく呪文を呟いた。
刹那にして、ユイは光りとなってリーフの体の中に取り込まれていく。
『キミがあの子のために手枷になってしまうかもしれないけど、死にそうなキミに私の命を吹き掛けたから、その分役立ってもらうよ』
はい、国王陛下…‥。
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