昔話

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出だしは順調。 長い間、ラウンジのボーイや呼び込みをしながら女の子から盗んだ接客テクニックや流れ、キャッチでお客さんを捕まえる時の目を合わせるタイミング… すべてが遺憾無く発揮出来た。 20歳前後がホストのほとんどの中で20代半ばと言うのも強かった。 年齢に関係無く、一分一秒でも早く入店した人が絶対的先輩、絶対敬語の世界の中で私は… もちろん入店したてで、お客さんの居ない私はウェイタ~か先輩のヘルプ。 まずはヘルプであろうとテーブルにつかなければホストの意味が無い。 チャンスはすぐに来た。 明け方が近付くにつれNo1のテーブルのヘルプが酔い潰れていって、キープボトルを置いてるわずか1畳程のボトルルームに山積みにされていった… で・ば・んだ。 最大のチャンス。早る気持ちを抑え、冷静に… ラウンジのウェイタ時代から男性の客にテーブルに呼ばれてた私。 テーブルマナーでは絶対の自信があった。 オシボリ、灰皿、タバコに火をつける、オカワリのタイミング。 テーブルの上の微妙な物の配置。女の子に本気で怒られながら身体に染み付いた物…「このテーブルの上が私の会社でありステージやねん???って 話しの内容は簡単。 聞き出す、同意する、着いてる女性を誉めたたえる事でお客様に高揚感を与える。 時には機転もいるけど、所詮はその繰り返し。さらにボトルも空け初日で全員の信頼を得てウェイタは卒業… ヘルプでは絶対の人気を初日で得たが、まだ第一段階をクリアしたに過ぎない。 ただ店内で認められただけ… まだあの人の足元にも立てて無い… でも初日では予定通り以上で、店内の信用を得て、客を迎え入れる準備は万全になった…
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