木が茂る中に

　少年時代って、みんなそうだと思いますが、好奇心旺盛で、やけに勇ましいんですよね。私もその中の一人だったみたいで。入って行ったんです。見たことも無いその道に。
　草がちくちくしたから、半ズボンだったのかな。がさがささせながら、進んだんです。
　でも、半分くらい行くと、急に不安になって。終わりが無いんじゃないか、って思うんですよね。まあ、後ろを向いたら来た道がありましたし、気にせず進んだんです。子供ですよね。
　しばらく行くと、やっと道が終わりました。上がひらけて、明かりが目に入って。そこは、周りが木で囲まれている空地みたいな場所でした。
　それでね、家が一軒ぽつんとあったんです。変でしょう。そんなところにありますか？家が。ただ、人の気配もしたんです。
　そして、どうしてそんなことをしたか覚えてませんが、その家の戸を叩いたんです。興味だけで動いてたんでしょうね。