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「コンコン、お前、どこから来たんだ?」
「え、一応、あそこから……」
白いキツネはひょいひょいと軽やかな足取りで瓦礫の山から駆け降りて来ると、足許をぐるぐると回りながら、どこら来たのかを尋ねてくるので、私は一応、光桜学園がある方角を指差す。
「お、珍しいじゃねぇか! ここに建物が投棄されるってのはよぉ!」
「珍しい!?」
「ああ、珍しいぜ。ここは様々な平行世界、または異世界からの漂流物が流れ着く禁断の地なんだが、そんな漂流物の大体が粗大ゴミの類だからな」
ここは禁断の地であり、様々な平行世界や異世界からの漂流物が流れ着く場所だって!?
「あの建物の中には当然、誰かいるんだろ?」
「うん……」
私がこの世界に転送された直後、光桜学園の新校舎も、この世界に……っと、そんなこんなで部活にために放課後まで残っていた生徒たち、それに先生たち、ついでに食堂にいたせいで巻き込まれてしまった人たちも一緒に、ここへ来てしまっている。
「まあいい。それより俺様は盟主クールワンからの忠告を伝えに来たんだ」
「盟主クールワン? 誰なの、そいつ!!」
「最凶最悪の魔道書『死霊秘法』をたずさえる魔術師ってところかな? おっと、そんな忠告だが、盟主クールワン曰く『草原から出るな!』と……」「草原から出るなって!? ううむ……」
盟主クールワンって人物が何者かは知らないけど、このあちらこちらに瓦礫の山が見受けられる草原から出るな、と言っているようだ。
「おっと、まだ名乗ってなかったな。俺様の名前はフォルテだ。魔道書『イステの歌』の化身であり、魔道書アニマルの一匹でもある」
さてと、白いキツネはフォルテと名乗り、それと同時に自分は魔道書『イステの歌』の化身である魔道書アニマルの一匹である告白するのだった。
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