第1章 異世界へ!

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「な、なんじゃこりゃぁ~~~~!!」  私、深山葵は光桜学園の新校舎から外に飛び出し、そして大声を張り上げた。 「やっぱり幻じゃなかったんだッ!」  私は夢や幻を見ていたわけではなかった!? それは現実の出来事だったんだ!! 「この草の臭い……間違いなく本物だ!」  芝生に横たわった時にツンと鼻腔をくすぐる青臭い草の臭いを誰だって知っているはず!  そんな臭いが風に乗って周囲に拡散している……っと、私の視線の先に広がる光景は何もない広大な草原と、そんな草原とは似つかわしくない瓦礫の山がいくつ見受けられる奇妙な光景である。 「先生、あの瓦礫の山は一体……」 「ん~私が代表して見て来るから、アナタたちは校舎内に戻っていなさい」  一緒に新校舎の外へとやって来たパソコン部の生徒たちに校舎の中に戻るように命令すると、たったひとりで草原のあちらこちらに見受けられる瓦礫に山のひとつへと向かう。 「ここならアンタとも会話できるわね」  ――と私は、生徒たちには見ることができない不可視の友人に話しかけるのだった。
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