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COVを持つのは約100人に1人と少ない。
そのためかCOV保持者には自分は特別だという意識を持った者も多い。
大抵の者が己の力を見せつけるかの様にCOVが見えやすい様に身につけ、堂々と歩いている。
しかしその中で道の端の方を俯きながら歩いている少年が1人。
その少年は他の者とは違い、首から下げたCOVを隠す様にシャツの胸ポケットに入れ、バックをギュッと握り締めている。
さらに彼は小柄で細く、纏う空気は暗い。
全てが合わさると、イジメられっ子と言われても納得出来てしまう。
そんな彼の行く道を塞ぐ様に体格の良い男子3人程が急に立ち止まる。
ずっと俯いていた少年はその存在に中々気付かず、ぶつかるギリギリでやっと肩を揺らして止まる。
恐る恐る少年が視線を上げればそこにはニヤニヤと下種染みた笑みがあった。
「よぉ天草。
今日も辛気臭ぇツラしてんなぁ」
横を通り過ぎて行く者は皆見て見ぬ振りで誰も怯える少年を助けてはくれない。
「今イラついてんだ、ちょっとこっち来いや」
非力な少年はただ大人しく着いていくしかなかった。
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