孤独な唄

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「なんだ貴様、私を何のために喚び出した」  ……いや、怯えてはないな。ビックリしただけか。だが、何故こんな少女が召喚されたなんて理解出来るのだろう。見た感じ十二歳前後だろうか。喋り方は偉そうだが、気が強いのだろう。 「お嬢さん、確かに俺は召喚の儀式をした。けどお嬢さんじゃなくて魔王を召喚したつもりだったんだけどな」  うん、俺もまさかとは考えたんだが、まさか本当とは思わなかった。だってそうだろ?魔王なんて、どの本にも悪魔のような容姿かイカツイオッサンの絵が描かれていたんだ。まさかこんな可愛らしい女の子なんて、頭がおかしい奴しか魔王だなんて思わないと思う。 けど、そのまさかだったんだ。 「うん?やはり私を喚び出したのだろう。それに私はお嬢さんではない。私はノエル、《ノエル・ガイラス・ファルミシア》、十五代目魔王だ」  目が点になった。いや、待て待て!おかしいだろ、いくら魔王が長生きだからって老いない訳ではないだろう。まさか、コイツは俺を騙して食おうと思っている物の怪の類じゃあ……。
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