00  重なり合う運命

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白い闇の中を一人の少女が、走っている。 彼女の顔は、恐怖・焦燥・絶望に彩られていて、口からは、ぜぇぜぇと苦しそうな息を吐き出していた。 もう、どれ位走ったのだろうか。 こんなに走ったことは、もちろん生まれて初めての体験。それも、命懸けのランニングとなれば尚更だ。 GO惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡OOOOO惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡OOOO惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡惡OOH……! すぐ後ろから聞こえてくる衝撃波のような咆哮とガラガラと地面を踏み砕く音に、危うく止まりそうになる足を必死に動かして前に進む。 ゼィ、ゼィ、と無理矢理肺に空気を押し込みながら後ろを振り返った。 そこにあるのは、爛々と真っ赤に双眼を光らせ、六本の足で地面を這う何か。 体中を鎧のように頑丈そうで、不気味な光沢を放つ鱗が固めている。圧倒的な威圧感を与える巨躯はまるで山だ。 攻撃して追い返すなんて最初から考えてはいないし、そんな考えは捨てたほうが賢明だ。いや、そもそも攻撃を仕掛けるなどという考えが無駄だということは、少女自身の体の大きさと追跡者の体の大きさを比べてみれば一目瞭然である。今しがた少女が追い抜いた大木。 それがあの巨体にぶち当たった瞬間、木端微塵になっている。立ち向かったところで結果は目に見えていた。 長く突き出した上下の顎は、少女の小さな体をいとも容易く一口で平らげてしまうだろう。 そして、その口内に生えた小刀のような牙でバリバリと咀嚼されるのは、目に見えている。
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