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《日本海・日本海軍海瓜》
スーツ姿の国本奏は、落下防止用の防護柵に手を載せ、夕日が沈む地平線を望んでいた
長い髪は海風によってゆらゆらと揺れ、見る者を虜にする美しさがそこにあった
「今頃、勝志君は何をしているだろうか?」
微笑を浮かべながら海を見る奏の横に、男が1人近寄ってきた
「国本奏様、御時間です」
奏は律儀に背筋を伸ばしている兵士を見て、海を背にした
「もう、潜水の時間?」
奏が180度回転したときに見えた、美しい光景を兵士は見とれながら、しかし任務を全うした
「はい。日も落ちますし、そろそろ日本領域から離脱しますので・・・・」
ふて腐れた顔をする奏はしかし、素直に艦内へと戻っていった
「美しい・・・・とは国本奏様に相応しい言葉だ」
兵士がにへらと頬を緩ましていると、甲板に警告音が鳴り響き、兵士は奏の後に続いた
一分後、そこには海だけが残った
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