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『確かに予想外でしたわ、まさか二度も続けて、悪魔と戦う事になるなんて』
黒澤が右手に持つケーンを動かしながら、虚空に五芒星を切ってゆく…強い霊気に満ちた廃病院の中、ある意味では「現実に在りながら死の世界」に近い程に濃密で、澱んだ霊気が溜まっているこの異常な場所では、通常は目にする事が出来ない「霊力」…その力の発現たる「光」を視覚する事が出来た。
『ヨド・へー・ヴェウ・へー』
呪文と共に振るわれたケーンの先に、紫色に輝く五芒星が浮かび上がる…黒澤奈緒美は、その五芒星の中央をケーンで押し出すようにして打ち出した…まるで闇を貫く流星のように「悪魔」向かって飛び行く。
バシャウゥゥン!!
凄まじい音と共に、紫色に輝く五芒星が「悪魔」に命中し、まるで炎を浴びせたかのように光が飛び散る。
『凄い!』
それを見た山辺が感嘆の声を上げた。
『…………………』
しかし黒澤の表情は全く緩んでいなかった、仮にも「悪魔」と呼べるだけの強さを誇る相手に、自身が放った魔術の一撃程度、大して効いてないのが予測できていたからだ。
『ウオオォッ!!』
紫炎のような光の中から、叫び声を上げつつ、煙めいたものを全身から上げながら「悪魔」が飛び出して、黒澤達に突進してきた…が。
バシィィィィ!!
彼女達を防護するべく魔法陣が淡い光を放ち、突進してきた「悪魔」が突き出してきた、歪な両腕を遮る。
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