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ゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえる。
まったく、はしたない。
「そのチキンカレー、私が食べてあげてもいいわよ」
まだ強気にでるかこの娘は。
俺はいい加減にため息がでそうな衝動を抑えて言った。
「あのな、それなりにも人に頼む態度っていうもんがあんだろ。それに俺も逼迫してんだ。簡単に見ず知らずの奴に飯なぞやらん。ていうか普通の人ならやらん。そこまでして欲しい理由があるならそれをきちんとした言葉でいってみろ」
これが最後だ。次ふざけたら間違いなく帰る。
ここであったのも何かの縁だが、俺の腹もそろそろ限界だ。
もうなんでもいいからチキンカレーが食いたい。
俺がそんなことを思っていると、突然、
「グーー」
腹の音が鳴り響いた。 無論俺ではないので、そこで顔を真っ赤にしている彼女であろう。
「ととととにかく、私が美味しくチキンカレーを食べる。あなたはそんな私を見てハッピー。それでいいじゃない」
取り繕うとして、すごいこといいやがったこいつ。
まさかここまで俺様主義だったとは。
つーかどんだけ自分に自信があるんですかこの子は。
「………………はいはいそうですかさいですか。それじゃあな、俺は夕飯の支度があるから帰る。ついてくんなよ」
これでさよならだ。と言うように俺は踵を返す。
もうその服は掴まれず、諦めたか?と思った瞬間だった。
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