落ちてる物は拾わないように

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「グーーー!!」  先ほどよりも一際大きい腹の音が響いた。 「………………」 「………………ぷっ、ハハッ!なんだよお前、それ。こんなでかい腹の音聞いたことねえよ」 「わ、笑うなぁっ!!もう何日もまともなご飯を食べてないのよ!仕方ないでしょ!」  一瞬で顔まで真っ赤になった桃香は恥ずかしさをごまかすために、ポカポカと俺を殴る。  しかし、俺は桃花の攻撃を受けながらあることを考えていた。  何日もご飯食べてないだと。  年頃の女性で、家に帰れば取りあえずなんかある普通の女性でそんなことは有り得ない。  つまりこいつ――――  その瞬間気づいてしまった。  なんだ、こいつ。俺と同じか。  そういうことなら話は別だ。  俺は俄然桃香にチキンカレーを食わせたくなった。 「よし、分かった。そういうことならってちょっ、止めいポカポカパンチ地味に痛いから。…………よし。そういうことなら俺も鬼じゃない。チキンカレーを食わせてやろう」 「本当に!?」  嬉々とした表情で破顔する桃香。  こういうところは普通に可愛いんだけどな。 「ただし、条件がある。きちんとした態度で俺に頼んでみな」  俺のその条件にうっと怯むように一歩下がる桃香。そんな難しいこと言ったか俺。  しかし、やはりチキンカレーが食いたいのか、先ほどよりも顔を真っ赤にして、 「チ、チキンカレーを食べ………食べ……させ」 「声が小さいなー」  意地悪じゃないよ。  いたいけな女の子をいじめて遊ぶ趣味はない。ないったらない。 「うぐっ………………この、」 「ん?」  桃香は何か意を決したような顔で、大きく息を吸い込み、 「この卑しい卑しい私にあなた様のチキンカレーを食べさせてください!」  一息でこう言った。  …………いや、そこまで求めてなかったけどね。  どうやらこいつ全般的に一般常識が足りてないらしい。  しかし――――俺はようやく終わったと思い、帰路につく。 「ど、どこに行くのよ!」  顔を真っ赤にして所々息切れしながら桃香は不思議なことを言った。  だから俺はそんな彼女に当たり前のように伝えてやった。 「帰るに決まってんだろ。家に着かなきゃチキンカレー作れないしな。付いてこないのか?」  俺がそういうと、桃香顔を真っ赤にほころばせながら俺について来た。
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