24人が本棚に入れています
本棚に追加
結果、概要の把握には成功した、と思うけど。
結局、これの使い道なんて今はこれぐらいしか思い浮かばない。
右手で目に触れてから百四秒間の間、僕の眼球は望んだ物体を様々な方法で「引き剥がして」脳裏に写します。その結果、透視みたいなことが出来ちゃう訳で。小規模な、とても小規模なトラウマ製造機が僕の目には宿っているらしい。
それと、最近になって気付いたことだけど、
じゃあ僕はあの時、家族が壊れることを無意識的に望んでいたのだろうか?
疑問は解決しないまま、場違いなエビフライが僕の和風な弁当に加算された。
本日も快調なり。
* * *
以上、回想終わり。
回想ついでに過去からサルベージして判断してみるに、カラオケは散々だろうことが予想される。まあ、僕の目で未来は見えないので断定調では話さないことにする。
しかし現実問題として、お金が無いのは確かだ。こんな財布では『一日ブラックサンダー一個で一ヶ月生活』といういかにもゴールデンにレジェンドな企画すら十四日で破綻する。
別にチョコ漬け生活がしたい訳ではないが、資金は必要だ。
そういう訳で僕は家から駅へ向かう途中の、駅前から徒歩三分ほどに位置する、格安で諭吉を提供する金券ショップへ足を運んだ。
世間一般では宝くじ売り場とも言うらしい。最近知った。嘘だけど。
「いらっしゃい」と人懐こそうな売り場のおばちゃんが微笑みかけるので、いらっしゃいされた。
「スクラッチ一枚、うーん…上から三番目」と軽い要求を添え、財布の五十パーセントを紙切れ一枚と交換する。
「ありがとね」と、僕の銀貨を吸い込み紙切れを吐き出すおばちゃん。決してリアルに口から吐き出したりはしていない。おばちゃんの為に弁解を……どうでもいいか。脳内で言葉を弄びながらスクラッチャーとしての活動をする。
得てして世界とは侭ならぬモノであり、無情にも僕の二百円は溝川に捨てられた。
「むむー」まあ、分かってました。
最初のコメントを投稿しよう!