ONE:唐突な隣人

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「そのことですか。僕も今日、宮園さんから聞いて初めて知ったんですよ」 「宮園さんから?」 意外な人名が出てきて、俺は思わず聞き返してしまった。宮園さんは、1年が365日あるとすれば、300日は家の中にいる人だ。宮園さんの仕事上こうなってしまうのは仕方ないとは思うが。 「はい。昨日溜めていた家賃を払いに行ったそうで、その時に管理人さんに聞いたらしいです」 「ふ~ん。で? その新しい人についての情報か何か知ってる? どんなヤツとか聞いてない?」 「僕が知っているのは、その人が女性だということくらいです。同じ女性同士仲良くしてあげなさいって、宮園さんが言われたそうですから。どんな性格なのかとかはちょっと……」 あまり期待した密度の答えは得られなかったが、それでもいい。俺は早々に話題を変える。 「わかった。それとさ、例の上映会。その新しい人のことが詳しくわかるまで、一時中止ってことでいいか? あまり口うるさく言ってくる人だったら早めに避けておきたいしさ」 俺のその言葉に、城島はあからさまに残念そうな反応を見せる。
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