11905人が本棚に入れています
本棚に追加
/716ページ
「俺を怪しむのは当然だ……。だが、信じてくれ……」
切実で、だがどこか切羽詰まった少年の声。
それにすら、聞き覚えのあるものに感じるのは何故か。
とても他人とは思えない懐かしさの理由は、一体何なのか。
普通なら、信用に足りず一蹴する所である。
「いいだろう」
しかし、マティアスはあっさりと承諾した。
すると予想に反して拍子抜けしたのか、少年は一瞬の間を置いた後、ぱっと明るい表情を口元に浮かべる。
が、マティアスの言葉には続きがあった。
「ただし、お前の正体を見てからだ」
言いながら、少年が止めるよりも早く、容赦ない手が白いフードを掴む。
「あ、おいッ!やめ……!」
露になった少年の素顔を見た瞬間、マティアスの目はこれまでにない程見開かれた。
「お前は…………!?」
.
最初のコメントを投稿しよう!