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しかしその体は見た目によらず鋼のように固かった。
「くぅーッ!やるねえ!」
楽しそうな様子から、全くといってもいいほどダメージを受けていない事を悟ったシャルロッテは舌打ちする。
「化け物がッ!」
「それ、そっくりそのままお返ししちゃう」
笑顔で言い放つレオに、シャルロッテのこめかみに青筋が立つ。
するといつの間にか、目の前に冷たい殺気。
アメジストの瞳はシャルロッテを侮蔑するように細められ、先程噛み切って出血した親指をその口元にもっていった。
「啜れ」
「嫌だ!」
いよいよ全身で抵抗するシャルロッテは、体を拘束されたままの状態で顔を背ける。
「あれがバルテウスの血……」
「〝服従の契り〟だ……」
席にいた者達はざわめき、皆真剣な表情で息を飲んでいた。
「姫様、なりませぬ……」
先程涙を流していた老婆は祈るように固く目を閉じる。
「先刻は飲んだ"フリ"をしたのか?猿芝居とはよくいったものだ」
マティアスはバカにしたように目の前のシャルロッテを見下げた。
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