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…――バルテウス王国。
ブランデンブルク大聖堂。
ステンドグラスから色とりどりの光が差し込む美しい大聖堂には、重厚なパイプオルガンの音色が響いていた――…
「汝、マティアス=ルイ=バルテウスはこの女、シャルロッテを妻とし、病める時もまた健やかなる時も--」
聖書を読み上げる神父の前には、金の刺繍の入った黒い王族衣装を身に纏った男。
隣には対称的な白いウエディングドレスを着た女の姿があった。
「その崇高なる刃が失われても、太陽が昇らぬ朝も、また闇を照らし月のない夜も……助け合い、分かち合い、共に過ごす事を誓いますか?」
するとダークブラウンの髪の新郎は、まるで嘲笑うかのように口端を微かに上げた。
「……誓います。我が運命はシャルロッテと共に……」
それを横目で見ていた紅色の髪をした新婦――シャルロッテは、内心舌打ちしながらも、感情の篭らない冷たい声で同じような神父の問いに答える。
「……たとえ我が力つき、剣折れようとも、汝が為赤き血を流さん……」
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