Drop.1 戦慄のチャペル

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静寂に包まれていた大聖堂内は先程までと一転、悲鳴と怒号が響き渡る。 神父は驚きのあまり腰を抜かしていた。 花嫁が手にした漆黒の剣を見るなりマティアスは顔色を変える。 「お前……俺の剣をいつ"盗んだ"……!」 「盗んだとは人聞きの悪い。貴様こそ我が宝剣を横取りしただろう!」 シャルロッテは憎しみに満ちた声で言い放つと、全ての光を闇に変えてしまうような暗黒の剣を振りかざした。 「殿下をお守りしろーーッ!」 一斉に大聖堂へなだれ込んできた兵士達が銃を構える。 「バカ野郎!お前等マティアスに当てたらどうすんだ!俺がやる!」 すると壁際にいた礼服姿の黒髪男が、グローブを付けた拳に力を込め始めた。 しかしそれよりも先にマティアスは動いていた。 大きく後ろに飛び退くと、追撃しようと迫ってきたシャルロッテに凍てつく冷気の風を発生させる。 しかしシャルロッテは花嫁衣装にも関わらず、凄まじい跳躍力でジャンプし、それを避けた。 そのまま剣を下に向けながらマティアスに落下していく。 一方、武器を持たないマティアスは黒い手袋ごと親指を噛み切ると、なんと一瞬で、僅かな血液を妖しく光るワインレッドの剣に変えた。
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