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(どうすればいい?)
どうしようもない。数秒後に火だるまの出来上がりなのは一真にだってわかる。
(俺は何も出来ない。そう、ただの現実の俺には非現実に立ち向かう術なんてない。炎を操る事も水を出すことも・・・ならば、なればいい。非現実の存在へ。俺はクリエイターなのだから)
「四散せよ」
裕菜に向かっていた炎が散りかききえる。
「ヒャ?」
男は一真を見る。
「クリエイター。イグニス」
一真は叫んだ。その言葉がキーワードみたく一真の右目が赤く染まる。そして瞼にでかい三本の切傷が入る。
「キヒャ!ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
男は一真と距離を開けた。そして両手を使って今までとは桁が違う程の炎を呼ぶ。
「無駄だ」
一真はゆっくり立ち上がる。しっていたのだ。もはや、男が一真に危害を加える事はできない。
右目でにらみつけた。あっというまに炎は何事もなかったの様に消えた。
そして一真に炎が集まりだす。
「すべての火の主導権は俺にある」
「ヒャーヒャヒャ。そうさ。それでいい。俺みたいな雑魚は逆らう事すら馬鹿らしくなる圧倒的な力」
ただ、圧倒的まで凝縮された炎の球。一真はその球を放った。
「しばらく寝てろ」
高速で放たれた球は男の腹にめり込んだ。そして凝縮された炎が軽い爆発とともに解き放たれた。
「ふぅ」
一真の右目が元に戻った。
足の傷を見る。服こそ焼ききれているもののこげめ一つ見当たらなかった。
(やっぱり、これは)
一真は右目を抑えて立ち尽くした。
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