始点

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 ジリ・・ジリリリリ  朝からなり響く目覚ましの音。  しかし、今日は壁に叩きつけられる事なく裕菜によって止められる。 「何処ここ?」  寝惚けと二日酔いに必死に戦いながら頭を起こす。 (確か昨日一真にあって、酒飲んで酔っぱらって。その後は・・・夢よね)  普通に考えたら夢で終わらせる出来事だ。 「あぁ、ダメ。頭が働かない」  ベットから起き上がる。その時ようやくベットに何かいる事がわかった。 「・・・・・・え?」  未だにぐっすり寝ている一真に一瞬裕菜の思考が完全ストップした。そして、ゆっくり立ち上がる。 「死ね」  一真の腹を容赦なく全力で蹴る。 「ゲブフォ」  まるで、蛙が潰されたような悲鳴をあげる。 「さぁ、私が寝ている間に何をしたの?言わなきゃ蹴り殺す」  裕菜の目が据わっていた。寝惚けなんて簡単に吹き飛ぶ程ドス黒い殺気が一真を襲う。 「神に誓って不埒な事は何も」  昨夜。裕菜はあの後緊張がきれてかすぐに気を失った。一真はそれを背負って家まで運んだのだ。疲れて何もする気力がなかった。 「はぁ、確かに何もされた形跡ないから信じるか」 (俺って信用ねぇな。まぁ、仕方ないけど)  一真は体を起こして、ゆっくり立ち上がった。 (そういや)  一真は鏡にむかって自分の顔を見る。 (あの時確かに右目に三本傷ができたのに消えてるか)  一真は平静だった。何故か納得できてしまうのだ。昨夜異常な力を使えた事に。 (イグニス・・・偶然なわけないよな)  一真は昨日使った能力が本来誰の物かをしっていた。 (なんで、俺が作った小説の主人公になれるんだ?)  イグニスは一真が作った小説の中の主人公だ。炎の魔眼をもち、周囲の炎を完全制御下におく事ができる。  100歩譲って異能力はいいかもしれない。だが、イグニスは間違いなく一真がつくったもの。想像上のものだ。何の理由もなしになれるわけがない。 (他のもできるか?・・・たぶん、できるな)  一真が作った小説は一つではない。イグニスになれるなら他のキャラにもなれる。それが当前のように一真のように考えられた。 (恐いな。この力は)  力をもつと人間誰しもが変わし、何よりも怖いのは間違いだ。少し間違えただけで軽く人が死ぬのだ。 (でも、おそらく必要になる) 「あんた、いつまで自分の不細工な顔を眺めてるの?」  一真はしばらく考えこんでいるのに夢中で時間を忘れていた。 「誰が不細工だ」
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