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ジリ・・ジリリ
ジリリリリリリ
けたましい音てともに響く目覚ましの音。
彼―――志賀一真の1日はこの音を反射的に止めようとする事で始まる。
「うるさい」
寝惚けた目をしながら時計を鷲掴みする。そして、いきおいよくふりかぶりなげつけた。
ガシャン
目覚ましが今までよりはるかに大きい音をたてる。
「あちゃ~」
一真は思わず顔に手を当てた。
一真が心配しているのは目覚まし時計ではない。目覚まし時計は投げてもいいように頑丈なものをつかっている。現にあれだけ強く投げたのに今め煩くなっている。
心配なのは一真の部屋はアパートだ。そして、もちろん隣には人がすんでいる。普通なら朝っぱらからと怒鳴りこんできてもおかしくない。
一真は目覚ましをしっかり止めてそっと息を潜め隣の部屋の音に意識をむける。
(怒鳴りこんでくる気配はなし)
一真はほっと息をついた。
「さて、何しよう」
一真は謙応大学の二年で丁度二十歳になる。
大学生は暇だという。一真はその言葉を多いに実感してた。確かに場所によってはレポートや課題に自主勉強もしなければおいつけない場所もある。だが、それはあくまで一流レベルの大学であり。謙応は間違いなく三流以下なので、世間一般にみられる単位さえおとさなければいい暇な大学だ。
「なにするか」
本日はいかなくても十分単位が間に合う講義ばかりで。行く必要がない。バイトも休み。
「う~ん」
取り分けやることが無いので新聞を読みながら考えようと、玄関にあるポストをみると手紙が入ってた。
「ん?」
一真は不思議そうにその手紙をみる。
携帯が普及している今では業者以外の手紙は少ない。すくなくても、一真には年賀状すら届かない。
「送り主は・・・俺⁉」
そこには旧姓の長野一真と確かに下手な字で書かれてた。
「小さい頃かいたやつか?」
未来の自分にむけて確かに書いた覚えがある。
「内容は・・・ぶっはははは」
いきなり、ふきだしてしまうほどな衝撃的な内容だった。奇妙な模様の中にたった一言。
「主人公になる」
それだけだ。
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