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子供の頃誰でも憧れる漫画の主人公やヒーロー。一真もまたあがれていた。
(書いたのは八歳ぐらいだよな。両親の離婚前だから。そんな頃までこんな事を書いてたなんて)
我ながら呆れた。
「まぁ、今もか」
もちろん漫画の主人公になりたい訳ではない。だが、一真の趣味は小説を書くこと。結局は昔の夢を諦めきれないのだろう。
「夢か。この時の俺が羨ましい」
今の一真には夢はない。はじめから何事も成功しないのだから。
小説だってそうだ。趣味で書くにはいいが、決してプロになろうとは思わない。絶対になれないと確信してるからだ。小さい時からやることなすこと全て裏目にでる。テストをすれば必ず予想外の場所。何か特別なイベントの時は必ずアクシデントが起きる。きわめつけは、大学受験の時に死ぬほど勉強して見事模擬で一次志望B判定。二次志望A判定。油断などしてない。普通にいけば一次に受かってもおかしくない。しかし、結果は一次二次両方落ちた。
その時に完全に一真は諦めた。人生に・・・所詮何かを頑張っても、成功することはない。なら、始めから夢をみないほうが気が楽だ。
「あぁ、欝になってきた。気晴らしに外にでるか」
2
彼女、岸里裕菜の朝はとても不機嫌だった。それは彼女が常に気にしてる身長171cmという女性にはあまりない高さを忘れるぐらい不機嫌だった。
「こんなもの見るなんて」
裕菜が見たのは一通の未来の自分宛ての手紙だ。
「あいつと一緒にいたい」
と女の子らしい純粋な思い。ただ、今の裕菜には腹立たしい奴リスト永遠のNO.1入りの男だった。
「昔の自分を殺したい。いますぐに」
小学生時代の思いなど過去の汚点でしかない。
とりあえず、その手紙を細かく破った後すぐに燃やした。
「えぇぃ。過去の事を考えても仕方ない」
とりあえず、今見たものはなかった事にして気持を切り替えた。
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