第1章

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松浦の携帯が赤外線受信を完了した瞬間、見計らったかのように着信音が響いた。 「ちょっとごめんな、オカンから電話」 バツの悪そうな顔をする松浦に 美由紀は目で、ドーゾと促した。 「あぁ、うん。うん。」 と相づちをうつ松浦だが、電話口から漏れ聞こえる声は、大層ご立腹のようで。 「ごめん! オカンばり怒ってるから帰らなきゃやばい ほんとは家まで送りたかったんだけど…ほんとごめん! 俺のことはこれから宏樹って呼んで?」 「うんっ 気をつけて帰ってね、宏樹くん」 くん付けに少し不服そうな顔をしたものの、ニカッと笑って 「ばいばい、美由紀」 と言うと、宏樹は颯爽と帰っていった。 _
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