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「と、とにかく!不知火さんに手を出したら駄目っす!分かりました!?」
「むむ……まさか幸人」
「はい?」
「静葉の事好きなのか?」
「……へ?」
顎に手をやり、何を言い出すかと思えばそんな事を言い始める命花。
ワッツ?
アイラブ静葉?
「そこまで私に手出しさせたくないとなると……そう考えると合点がいく。静葉は普通に見て可愛いし、成績も優秀だからな」
「……いやいやいやいや!」
えっ?
俺が殺人兵器に恋心を抱いてるんじゃないかって?
アンタよう考えてみ?
俺とターちゃんの接点なんて、今までいくつあったよ?なみへいおじいちゃんの頭頂部の髪の毛の数くらいだろ?左様だろ?
その接点もさ……追い掛けられたり、トンファー突き付けられたり。
まともな思い出は一つも無いわけじゃん?
俺は一瞬たりとも、キュン……とか、ドキッとか、ムラムラとかしてないわけじゃん?
「いやいや、命花さん……んなわけ無いじゃないですか」
「本当か?」
ジトーッと俺を見てくる命花。
まさか……俺がターちゃんと絡んでるのが嫌だったのかな?
静葉なんかより私と絡んで欲しいな、とか命花も思ってたりするんですかね?
ふふふ、命花も可愛いところが
「好きじゃないなら、あんまり私の静葉にちょっかいを出さないでくれ」
ドンガラガッシャーーーン!!
「じゃ、私は更衣室に行かないといけないから。またな幸人」
手を振りながら、去っていく命花。
俺は見えない雷に打たれ、数秒間その場に固まってしまいました。
“私の”静葉。
MY静葉?所有格だと?
おい……あのターミネーター女は人の女(未来形)と何勝手に仲良くなってんだよ。
俺だって言ってもらいたいっすよ……!
“私の幸人”って……!
「はぁ……」
命花の鈍感っぷりにはほとほと困ったものです。
俺も少し経った後、教室で着替えるために重い足取りで歩きだします。
そして真一に野口さんの身を引き渡し、残金98円となった財布をポケットに入れて食堂へ向かいました。
ノロノロとしていたため、昼休みが始まってもう20分になろうとしています。
しかし意外にもターちゃんはまだ来ておらず、俺は二人分の空いている席を見つけると、何も頼まずに座り込みました。
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