二つ目のお話

24/32
前へ
/241ページ
次へ
「と、とにかく!不知火さんに手を出したら駄目っす!分かりました!?」 「むむ……まさか幸人」 「はい?」 「静葉の事好きなのか?」 「……へ?」 顎に手をやり、何を言い出すかと思えばそんな事を言い始める命花。 ワッツ? アイラブ静葉? 「そこまで私に手出しさせたくないとなると……そう考えると合点がいく。静葉は普通に見て可愛いし、成績も優秀だからな」 「……いやいやいやいや!」 えっ? 俺が殺人兵器に恋心を抱いてるんじゃないかって? アンタよう考えてみ? 俺とターちゃんの接点なんて、今までいくつあったよ?なみへいおじいちゃんの頭頂部の髪の毛の数くらいだろ?左様だろ? その接点もさ……追い掛けられたり、トンファー突き付けられたり。 まともな思い出は一つも無いわけじゃん? 俺は一瞬たりとも、キュン……とか、ドキッとか、ムラムラとかしてないわけじゃん? 「いやいや、命花さん……んなわけ無いじゃないですか」 「本当か?」 ジトーッと俺を見てくる命花。 まさか……俺がターちゃんと絡んでるのが嫌だったのかな? 静葉なんかより私と絡んで欲しいな、とか命花も思ってたりするんですかね? ふふふ、命花も可愛いところが 「好きじゃないなら、あんまり私の静葉にちょっかいを出さないでくれ」 ドンガラガッシャーーーン!! 「じゃ、私は更衣室に行かないといけないから。またな幸人」 手を振りながら、去っていく命花。 俺は見えない雷に打たれ、数秒間その場に固まってしまいました。 “私の”静葉。 MY静葉?所有格だと? おい……あのターミネーター女は人の女(未来形)と何勝手に仲良くなってんだよ。 俺だって言ってもらいたいっすよ……! “私の幸人”って……! 「はぁ……」 命花の鈍感っぷりにはほとほと困ったものです。 俺も少し経った後、教室で着替えるために重い足取りで歩きだします。 そして真一に野口さんの身を引き渡し、残金98円となった財布をポケットに入れて食堂へ向かいました。 ノロノロとしていたため、昼休みが始まってもう20分になろうとしています。 しかし意外にもターちゃんはまだ来ておらず、俺は二人分の空いている席を見つけると、何も頼まずに座り込みました。

最初のコメントを投稿しよう!

2441人が本棚に入れています
本棚に追加