青息吐息?

4/5
前へ
/76ページ
次へ
 稍(やや)あってから、女性は短く嘆息し、レンのコートを乱暴に掴み、ズルズルとそのまま厨房から店内、店外へと引っ張っていく。  親に首根っこをもってもらう子猫のように、コートの襟を掴まれながら、地面を引きずられるレン。  最初はなすがままにされていたが、行き先も判らず、流石に不安になったので、恐る恐る女性に質問を投げかけた。 「あの~。どこ行くんですか?」 「守護の所よ」 「しゅご?何で街の自警団の所へ?」 「あなたを引き渡す為よ」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!待って!待ってください!」 「大丈夫よ。ここから近いから」 「だっ、大丈夫じゃないじゃないですか!何でもしますから勘弁してください!!」 「本当に何でもしてくれるの?」 「はい!喜んで!!」 「なら、大人しく引き渡されてちょうだい」 「だからそういうことじゃなくてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「『何でも』聞いてくれるんでしょう?」 (だっ、駄目だこの人。俺の話聞いてくれねぇ)  このままでは牢屋行きは必至だと判断したレンは、抵抗しつつ、この状況を打破する方法を必死に考え続けた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加