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こうして、現在に至る。
…………無論。あの後女性による制裁がレンへと下されたのは、言うまでもない。
そして今は女性が経営する料理店━━━━『止まり木』━━━━で、仕事内容を教わっていたのだが………………。
「だ・か・ら。掛け声は要らないって言ってるでしょ!!」
レンは厨房内で正座をさせられ、ガミガミと女性に起こられていた。
先程から、この調子である。
「はぁ…………レン。あんたホンット何をしに来たのよ?」
「でもユリさん。俺こんな事やったことないんで、何したらいいか丸っきし判んないです。料理も作れないですし」
「でもじゃない!」
「じゃあ、だって」
「だってじゃない!」
細長い眉毛を吊り上げて、美しい黒髪がよく似合う女性━━━━『ユリ・シノミヤ』━━━━はプルプルと体を震わせたかと思うと、周囲の迷惑はばからず、大声でレンに言い放った。
「あぁ~~~~!もう分かったわよ!レン、アンタの仕事は給仕!要するに注文をお客に聞いて料理を出す係!…………皿くらいは運べるでしょ?」
「は、はい」
後半は身の毛もよだつ、凍り付くような低い声で告げられた為、レンは怯えながら返事をする。
(ホントに分かったのかしら?まぁいいわ、次の問題は…………)
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