意気阻喪?

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━━━━━━━━━━━━━━━ 「ユリちゃん?元気でやってるのかい?」 「もちろん!毎日元気過ぎて困っちゃうくらいだから♪心配しないで」  それが空元気だと気付かない程、サキ・シノミヤは鈍い女性ではない。 「辛い時は辛い。たまには吐き出さないと、やっていけないでしょう?」  そう言って、サキはユリの顔をじっと見つめる。そよ風に揺れ動く、腰まで届くような黒髪に、サキは戦争で苦しんだかつての自分の姿を重ねた。  毎日を怯えて暮らしてきた一昔とは違い、今は安全な生活が守られている。しかしながら、争いが生んだ疵痕はあまりにも大きく、あまりにも深い。  健気に頑張っているユリの身を案じ、サキはいたずらっぽく、話題を明るく変えた。 「そういえば…………お店に新しい人が居たねぇ。いい男じゃない?ユリちゃんも隅に置けないねぇ」 「いえ、あの、その、そんなんじゃないですよ!?」  二十八歳と少しばかり遅くはあるが、ユリも年頃の生娘である。突然話が切り替わり、そういった方向に傾いてしまえば、動揺してしまうというもの。
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