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深い蒼色を基調としたその制服は、晴天の空━━━━転じて平和━━━━をイメージしての作られており、長袖に長ズボンが基本的なものである。
その制服を着用した男女二十人が二列になり、煙草を口にした肌の白い若々しい男性を筆頭にして、『止まり木』の近くを歩いていた。
その集団は、商店街の道行く人々を立ち止まらせては、昨夜に起きた事件を伝え、注意を促していた。
『守護』の群れに気付いた『止まり木』の客は、物々しい雰囲気に耐えきれず、サキを除いて去ってしまった。
やがて、サキとユリの敵意を孕んだ視線を受け止めた先頭の男性は、作り笑いを浮かべながら二人に近付いていく。
左の胸ポケットから、小さい木箱を取り出し、完全に火が消えたのを確認すると、男は吸い殻を木箱にしまい込んだ。
「どうも~お仕事御苦労様です♪私(わたくし)、第一番隊隊長の『ジャンゴ・ザ・ホッパード』という者です。以後、お見知りおきを」
『守護』の中でも有力な者は、その実力を買われて隊を任されることがある。
やや高く、陽気な声でジャンゴと名乗った男はそう言うと、ピョンピョンと跳ねた、己の煌(きら)びやかな金髪を深々と下げた。
「私達に何かご用ですか?」
ジャンゴを睨み付けながら、ユリは早口に疑問をぶつける。
「まぁまぁ、そんなに怒らないでくださいよ。すぐに終わりますから。ただちょっとした告知が有りましてね、それを伝えに来ただけなんですよ」
「告知?」
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