162人が本棚に入れています
本棚に追加
青年もそれに気づき、悲鳴に似た叫びをあげた。
「何だ!何なんですか!これは!?一体中で何がおこっているんですか?」
男はそれには答えずに警備室に備えられた武器庫から、ウィンチェスター・モデル1300マリーン・ライオット・ショットガンを手にすると、ポンプ・アクションで弾を装填しながら言った。
「行くぞ。小僧。何かはわからんが、あそこが破られたら残っている人間で戦えるのは俺達だけになる」
その言葉に青年は慌ててスミス・アンド・ウェッソンの自動拳銃を腰のホルスターに差すと、武器庫からレミントンを手に取り男に続いた。
グリーンを足早に駆け抜け、ブルーへと向かう。
途中にガラス張りになった研究室をいくつも通り過ぎたが、ホワイト・カラーの連中はあいも変わらず黙々と研究を続けているのが目に入った。
「やっぱり、この施設おかしいですよ。あれだけの衝撃があったのに顔色一つ変えないなんて」
青年は今にも消え入りそうな声で言った。
「余計な事を言うな。黙って俺について来い」
そう言った男の中では嫌な予感が渦巻いていた。
再び轟音と共に、空気を震わす衝撃が中央部から発せられる。
今度のそれは単発ではなかった。一発、二発、三発・・・・・・。続けざまに起こった衝撃に男は背中に冷たい物が伝うのを感じた。
「も・・・・・・もう嫌だ。俺はこんなところ来たくなかったんだ!」
青年が駄々をこねるように喚きだした。
「お、俺は帰る!あんたも逃げたほうがいい!」
青年はそう叫ぶと銃を床に放り出して来た道を一目散に駆け出した。
「おい!待て!持ち場を離れるな!この野郎!」
男が叫んでも無駄だった。
たちまち青年の姿は彼方に消え、男は一人、残された。
オレンジの外隔壁はすぐそこにある。
男はごくりと生唾を飲み込むと、覚悟を決めてオレンジへ向かうゲートの前に立ちふさがった。ゲートの向こうから微かに銃声が聞こえる。
と、男の立っている場所からそう離れていない壁が、爆音と共に膨れ上がり、男は余りの」衝撃に尻餅を付いて床に倒れた。
「な・・・・・・何なんだ!畜生ッ!」
また続けざまに衝撃が起こる。その度に隔壁が瘤のように隆起した。
それは徐々にゲートへと近づきながら、その大きさを増していく。
男は手にした銃を構えた。
何者かは知らんが出てくるなら来い。こいつをお見舞いしてやる。
最初のコメントを投稿しよう!