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すると彼はニコッと笑う。
忘れられなかった顔。
その穏やかな顔を…アタシは忘れられなかった。
「僕の名前は志田 知哉。…君の名前は?」
『えっ?あの、……内田 結花、です…』
「ゆいか、か…。やっと名前聞けた。…あの時に聞かなかったことをすごく…すごく後悔したんだ…」
『あ、あの…』
「ゆいかはまだ質問しちゃダメ。もうちょっと僕にお話させて?」
そんなことを言われたら頷くしか出来ない。
「単刀直入に言うね?」
そう言って、彼は深呼吸を数回繰り返し……そして、
「ゆいかさん、僕と結婚して欲しい。」
え………?
い、今…なんて…
アタシ以上に周りはザワザワと大きく反応する。
だけど、ななしのサン…知哉さんはそんな周りを気にせず話し続ける。
「僕の中身だけを見てくれる人に出会ったのは君が初めてだった。…いつもいつも家柄ばっかり見られて…辟易していたんだ」
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