13/18
637人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
  すると彼はニコッと笑う。 忘れられなかった顔。 その穏やかな顔を…アタシは忘れられなかった。 「僕の名前は志田 知哉。…君の名前は?」 『えっ?あの、……内田 結花、です…』 「ゆいか、か…。やっと名前聞けた。…あの時に聞かなかったことをすごく…すごく後悔したんだ…」 『あ、あの…』 「ゆいかはまだ質問しちゃダメ。もうちょっと僕にお話させて?」 そんなことを言われたら頷くしか出来ない。 「単刀直入に言うね?」 そう言って、彼は深呼吸を数回繰り返し……そして、 「ゆいかさん、僕と結婚して欲しい。」 え………? い、今…なんて… アタシ以上に周りはザワザワと大きく反応する。 だけど、ななしのサン…知哉さんはそんな周りを気にせず話し続ける。 「僕の中身だけを見てくれる人に出会ったのは君が初めてだった。…いつもいつも家柄ばっかり見られて…辟易していたんだ」  
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!