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玄関の扉が閉まる音とスリッパのパタパタという足音。
「ただいまー。お前らメシはー?」
「おかえり。もう食った。カズヤの分もあるよ」
ソファーに体育座りをした竜がテレビのリモコンをポチポチしながら返事をする。
「ばあちゃんがチンすればいいだけにしてった」
背を向けていた隼人は頭だけ振り返る。
カズヤは玄関の鍵をいつもの場所に置いた。
「あ、かあさん来たんだ」
「うん。カズヤコンサート始まったし、色々忙しいだろうからって」
とくに見たいテレビ番組があったわけじゃない竜は電源をオフにしてソファーを立つ。
「冷凍庫に食料補充してったよー」
歌うように隼人が言うのをカズヤはキッチンで手を洗いながら聞き、手をふきながら中を確認する。
「うわっ、本当だ。すっげ、詰まってる」
「カズヤ風呂は?入ってからメシ?」
キッチンに顔をのぞかせた竜がといかける。
「いや、向こうでシャワー浴びてきたからもうメシ食って寝る」
「ならあっためておくからカズヤは着替えてきなよ」
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