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そして暫くして。
夢に子供が産まれた。
夢は自分の命と引き替えに、子供を産んだ。
これは旦那も望んだ結果であったが、くるみにはまだ到底理解できない内容であった。
『どうして…夢…なんで…?』
なにも考えられなかった。なぜかはわからない。
ただ、子供のために自分が死ぬなんて。
皆生きてなきゃ意味なんてない!!意味なんて…ないのに。ないはずなのに。
夢の産んだ子供は息をして生きてる。夢の、いや、母親の分まで。
「わたし、絶対産みたい。」
そっか。そうだよね。
母親は子供の幸せを願うのが普通だ。
だからきっと夢も、子供の為にならと命を捨てたのであろう。
しばらくして病室を離れ、プレイルーム(病気の子供たちの遊び場)に来てみた。
なんとなくテレビを見た。
その時に、夢のセリフを思い出した。
「わたし、絶対産みたい。」
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