拉致監禁

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 一冊の、黒いアルバムが入っている。マユミさんの宝物だ。前に何度か、これの中身を眺めながら自慰行為にふけっているマユミさんを目撃したことがある。  ページをめくると、そこは全裸の少年の死体写真で埋め尽くされていた。  みんなマユミさんに殺されたのだ。正確にいえば、直接殺害したのはマユミさんではないのだが。  マユミさんは少年しか愛せない性癖を持っている。もう四十を過ぎるというのに、その性癖は改善どころか、さらに大きな欲望へと進化を遂げているのだ。  少年しか愛せないマユミさんは、少年に愛されたいのである。だからたくさんの少年をさらって、それを強要しようとしたのだ。  マユミさんが愚かなのは、一度少年に逃げられそうになって、それがトラウマになったらしく、以来、いちいち逃走を防ぐために、足首を切断してしまうことだった。もちろん、様々な方法で意識を失わせてから、しかるべき麻酔を施した上での切断なので、痛みはない。しかし当然、目が覚めた少年は大抵の場合、精神が崩壊して、愛するどころか単なる心のない人形になってしまい、結果、殺すしか方法がなくなる。  そんなマユミさんが最後に手に入れたのが僕だった。足を切断されても、とりたてて精神に変調をきたすことのなかった僕を、マユミさんは溺愛している。
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