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やがて、泣き疲れたマユミさんはそのままの体勢で眠ってしまった。そういえば、かつては僕も、勉強に疲れて、机に頭をのせたまま眠ってしまったことがよくあった。そんなとき、決まって母さんは僕に毛布をかけてくれたっけ。
よし、と僕は思い出を参考にすることを決める。エアコンを、冷房、強風、十八度に設定して風向をマユミさんに固定した。
いい夢みれるといいですね、と呟いてみる。
玄関の前には、マユミさんが僕を逃がさないために設置した鉄柵の扉がある。どうやら今日、心労のためか彼女は南京錠をかけ忘れたようだ。
今なら、逃げることができる。
しかし、僕が逃げるのはまだ先の話だ。今逃げたところで、根本的な問題は解決されない。
当面はマユミさんと遊び続けよう。どうやら、僕はちょっぴり、マユミさんが気に入り始めている。
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