*夢ノ遣イ*

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『…ま…られよ。』 真っ暗な場所にポツリと1人佇んでいる私の耳に、微かに聞こえる声。 『え?何?ってか、誰よ?』 人の姿どころか、気配すら感じないこの場所。 此処が何処なのかすら解らない。 『・・・参られよ。』 『まい・・・られよ?ってか、それ日本語?何かの呪文?ってか、此処は何処で貴方は誰よ?』 『悠希(ユウキ)。そなたなら救える筈。我が刀の鞘を払い、我が元へ参られよ。』 先ほどとは違い、はっきりと聞こえる声。 しかし人の気配も姿も無い。 遥か彼方遠くに、目を背けたくなるほどの目映い一筋の光が見えるだけだった。 すると突然―― ジリリリリリリ・・・・・・・ けたたましい高音が響き渡り、耳に手を当てた瞬間、フワッとした感覚と共に目が覚めた。 覚めたと言っても、既に脳は覚醒されていて、ただ目の前の景色が見慣れた自分の部屋に変わっていただけだった。 けたたましい高音の正体は、目覚まし時計の音。 自分の身に何が起きたのか解らないまま、煩い目覚まし時計を止めると部屋に静寂が戻ってきた。 .
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