第一幕

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「・・・・・・」 逆に見つめられれば本等に集中出来ない。 和政は本をどけて悠の顔を見る。 「何だ?」 その言葉に悠は俯き、机に寝そべった状態で口を開く。 「和政さ・・・・左手大丈夫?」 ちょん、と和政の左手を人差し指で突く。 和政は何も動じないような態度をとりながら 「大丈夫だ」 と答えた。 「ならいつになったら包帯取れるのさ?」 「・・・・・・・・」 その質問には言葉が詰まってしまった。 和政の左手は訳ありで包帯が巻かれている。 ・・・・・・が、しかし理由は誰も知らない。 こういう所では鋭い指摘をする悠には敵わないと本当に思う。 「和政?」 「・・・・いつかは取れるだろ」 出た言葉は不器用な嘘だった。 「そっか」 その言葉を最後に悠は何も聞いてはこなかった。
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