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「・・・・・・」
逆に見つめられれば本等に集中出来ない。
和政は本をどけて悠の顔を見る。
「何だ?」
その言葉に悠は俯き、机に寝そべった状態で口を開く。
「和政さ・・・・左手大丈夫?」
ちょん、と和政の左手を人差し指で突く。
和政は何も動じないような態度をとりながら
「大丈夫だ」
と答えた。
「ならいつになったら包帯取れるのさ?」
「・・・・・・・・」
その質問には言葉が詰まってしまった。
和政の左手は訳ありで包帯が巻かれている。
・・・・・・が、しかし理由は誰も知らない。
こういう所では鋭い指摘をする悠には敵わないと本当に思う。
「和政?」
「・・・・いつかは取れるだろ」
出た言葉は不器用な嘘だった。
「そっか」
その言葉を最後に悠は何も聞いてはこなかった。
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