第1章:プロローグ

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「やっぱり外の世界のゲームは良くできていますわ。まるで現実ね」 紫色の派手なドレスに長い金髪を伸ばした女性が、その姿には到底似合わない物を手にほくそ笑んでいた。 PSPだ。なぜか3000型である。 モフモフした9本の尻尾を撫でてながら、私〈八雲藍(やくもらん)〉は非常に若干呆れ気味な様子でそれを見つめていた。 「あの、紫(ゆかり)様………?」 「何かしら?」 「その…、〈ゲーム〉とやらですが…」 私は怪訝そうな視線をPSPに向けて、それから〈八雲紫(やくもゆかり)〉へと向けた。 「あら、これがどうかしたのかしら?」 「その、ゲームを始めてからもう10時間ですよ?紫様、楽しいのは解りますが加減は考えて戴かないと………」 「あー、きこえませ~ん」 「ふざけないで下さいよ紫様」 「分かってるわよ。もう止めますわ」 紫様は如何にも喧(やかま)しいと言いたげな表情をして、私の言葉に答えるだけ答えて再びPSPへ視線を落とした。
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