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私たち浪士集団はいくつかの組、またその組の中でもいくつかの班に分けられ、私は六番組の中の西恭助という人の班に組み込まれた。
出発して3日目の事だ。
「な、お前名前は?どっから来たの?どこの門弟?どんな剣術使うの?」
突然話しかけられた上に質問攻めされ、ぽかんとしていると、隣から笑い声がした。
「あーあ、平助が一気に質問すっから驚いてるよ。っふふ、それにしても君も、刀差してるのに随分可愛いんだね。」
私は思わず目を見開いて驚いてしまった。女だと見抜かれれば、恐らく京へ行くまでに帰されてしまうからだ。
でも心配は余計だったようだった。
「ちょっと総司!俺が話したの!だいたい男に『可愛い』なんて失礼だろ!」
「でも可愛いじゃない?」
「いや、総司、どっちかってーと綺麗なんじゃねぇか。」
「なんつーかあれだな、中性的な…」
「ちょっと左之さん!新ぱっつぁん!総司と一緒になって言ってんじゃねーよ!ごめんな、えーっと…」
そのやり取りに思わず顔が綻んでしまう。
「千代悠です。」
「悠か。ごめんな、悠。俺は藤堂平助!」
「沖田、総司。」
「原田左之助だ。」
「俺ァ永倉新八!んでー、あっちの甘いマスクのいい男が土方歳三、優しそうなメガネが山南敬助。俺らはサンナンさんって呼んでんだ。」
奥のお二人に会釈すると、少し笑ってくれた(気がした)。
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