上洛

3/14
823人が本棚に入れています
本棚に追加
/186ページ
私たち浪士集団はいくつかの組、またその組の中でもいくつかの班に分けられ、私は六番組の中の西恭助という人の班に組み込まれた。 出発して3日目の事だ。 「な、お前名前は?どっから来たの?どこの門弟?どんな剣術使うの?」 突然話しかけられた上に質問攻めされ、ぽかんとしていると、隣から笑い声がした。 「あーあ、平助が一気に質問すっから驚いてるよ。っふふ、それにしても君も、刀差してるのに随分可愛いんだね。」 私は思わず目を見開いて驚いてしまった。女だと見抜かれれば、恐らく京へ行くまでに帰されてしまうからだ。 でも心配は余計だったようだった。 「ちょっと総司!俺が話したの!だいたい男に『可愛い』なんて失礼だろ!」 「でも可愛いじゃない?」 「いや、総司、どっちかってーと綺麗なんじゃねぇか。」 「なんつーかあれだな、中性的な…」 「ちょっと左之さん!新ぱっつぁん!総司と一緒になって言ってんじゃねーよ!ごめんな、えーっと…」 そのやり取りに思わず顔が綻んでしまう。 「千代悠です。」 「悠か。ごめんな、悠。俺は藤堂平助!」 「沖田、総司。」 「原田左之助だ。」 「俺ァ永倉新八!んでー、あっちの甘いマスクのいい男が土方歳三、優しそうなメガネが山南敬助。俺らはサンナンさんって呼んでんだ。」 奥のお二人に会釈すると、少し笑ってくれた(気がした)。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!