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「皆様は同じ道場の門弟ですか?」
「あぁ、試衛館って道場でな。」
永倉さんが明るく答えてくれた。
「ですから皆様仲がよろしいんですね。じゃあ、皆様同じ剣術を使われるんで…す……か?」
ですね!と言い切ろうとしたときに目に入ったのが、原田さんの持っている槍だった。
その視線に気付いた原田さんが、試衛館はイモ道場って呼ばれてて…と、試衛館のことを教えてくれる。
頭である近藤勇という人の道場らしく、去るもの追わずの来るもの拒まずの道場らしい。
「俺は剣術より槍のが得意でな。でも剣が出来ねえって訳じゃねぇんだぜ?」
「まぁ剣術なら左之より俺らのがずっと上ってことよ!」
この時の私は、あまりこの人達の事を知らなかったけれど、今思えばこの時から永倉さんはずっと「かかか!」と笑っていた。かかか!と笑うのは何とも永倉さんらしい。
「新ぱっつぁんは神道無念流、俺とサンナンさんは北辰一刀流、土方さんと総司、あと近藤さんは天然理心流なんだ。みんな免許皆伝とか本目録とか…そんな奴らばっかりでさ!俺結構強いと思ってたのに、適わない奴らばっかりでさぁ~。参っちゃうよなぁ。」
「こら平助!ペラペラ余計な事を喋んじゃねぇよ!」
「別にいいじゃん!悠は敵じゃないんだしさぁー。」
そんな土方さんと藤堂さんのやり取りの間も、私はびっくりして声も出なかった。
免許皆伝と言えばもう凄いもので、私も小野派一刀流の免許皆伝を頂いているものの、女であるにも関わらず血のにじむような努力をしていた私を見て、ちょっと妥協してくれたのでは、と思っている。
免許皆伝なんてのは大きい道場でも僅か数人居れば凄かった。
しかし試衛館はイモ道場と呼ばれていた、と先ほど教えて貰った。永倉さんや土方さん、山南さんでも凄いのに、沖田さんや藤堂さんはまだまだ若い。
そんな中に居るのなら原田さんだって、並の槍使いではないはずだし、適わないと言っていた藤堂さんも相当強いのではないかと思う。
考えれば考えるほど強そうに思えてきた。
「平助ぇ!だいたいお前はなぁ、」
「あーもう分かったよ!悪かったってば!…そんで、悠は?…悠?」
藤堂さんの声ではっと我に返る。
「お、小野派一刀流の、免許皆伝!」
とてつもなく早く口が回ってしまったが、聞き返したのは意外な人だった。
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