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「待たせた、悠、連れてきたぜ。」
土方さんが、そう言って開けた部屋の中には試衛館の皆様が揃っているようだった。
「おお、悠!待ってたぜ!」
藤堂さんを筆頭に、沖田さんや原田さん、永倉さんが「改めてよろしくな!」と、声を掛けてくれた。
土方さんに促されて、みんなの輪の中に入れてもらう。
「土方くん、彼女、本当に連れて行くんだね?」
山南さんの言葉に、少し違和感を感じた。
「あぁ。こいつは絶対、これからの俺らに必要な存在になる。」
「サンナンさんが力に不安なら、今から僕が悠ちゃんの相手しましょうか。僕、女の子で免許皆伝取った子なんて初めて見たもんで、ずっと戦ってみたかったんですよね。」
私の感じた違和感は間違いではなかった。
「…え、え!?いや、え、どうして…、え?」
「何だ、何をそんなに驚いてんだよ。」
土方さんは呆れた顔で私に問うと、続けた。
「あぁ、お前が女だってことか?んなもん最初に見た時から薄々気づいてたっつーの。まぁ、初めからずっと確信してたのはサンナンさんだけだけどよ。」
私が小野派一刀流の免許皆伝だと言った時、最も驚いていたのが山南さんであった理由に私はこの時やっと気付いた。
「だって悠、こんだけ可愛いんだもんよ、気付かねえ訳ねぇじゃん!」
「あれー?平助、土方さんから聞くまで気付いてなかったんじゃなかったっけ?」
「ば、バカ言うなよ総司!最初っから気付いてて話しかけたんだよ!」
山南さんに言われて言い争いをやめる2人を見ながら、私はただ驚いていた。
男装がバレていたことに、というよりは、私を女だと知っていながらもなお誘った、その思い切りの良さに驚いていたのだろうと思う。
「別にお前が女だからってなめちゃいねーよ。」
「左之の言う通りだ!可愛いのに強いなんてそれ以上にすげえ女なんて見たことねぇよ、かかか!」
「でも女だってバラすとやりにくいからな、お前にはそのまま男装しててもらうからな。負担を敷くかもしれねぇが、我慢してくれ。」
「いや、そりゃもう全然平気です、はい!」
そう言うと、土方さんも山南さんも、息を吐いて微笑んでくれた。
「でも力は試しとくべきですよね?」
沖田さんがやけに楽しそうに土方さんに尋ねる。
「あぁ。お前の態度が少し気に食わねえが…」
「土方くん、ここは総司に任せてやりましょうか。」
ふふ、と笑いながら山南さんが促した。
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