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頭を下げっ放しのイケメン君に、ああまたか、と溜め息の一つでもつきたくなる。 告白されても困る、というか不毛だ。 何故か? それは俺は男だからだ。 俺はかなりの女顔らしく、小さい頃からよく男やそっち系の女に告白されていた。 成長期に伴う身長や体格の変化、声変わりでそういう奴も減るかと思いきや、期待していた程身長は伸びずに終わり、声は声変わりしても男にしては高めのハスキーボイスだったせいであまり変わらなかった。 文化祭などのイベントがあるごとに女装させられそうになったり、殆どの女子からは異性に見られなかったりと本当散々だ。 中学、高校は制服だったせいで多少ナリを潜めていてくれたが、休日に私服で出掛けたりすると、高確率でナンパされたり何だったりと厄介事に巻き込まれたりした。 そして大学だが、勿論私服だし、地方出身者も多く、多種多様な人間が居る。 ついでに、俺の私服姿は“ボーイッシュな胸のない女、ついでにツンデレ猫属性”見えるらしい。 ちなみにそう言った腐れ縁(へんたい)は後でシメた。 想像してみよう、こんな環境で俺の身にどういった事態が降りかかるか? そう、有り難くもない野郎やアブノーマルな女からの告白ラッシュだ。 つまり目の前のイケメン君は、ご多分に漏れず俺の容姿に引っ掛かった男(バカ)の一人なのだ。 これがノーマルな美少女だったらどんなに良かったことか。 別に良くも悪くもなかった気分が降下していくのを感じつつ、ルーチンワークのように慣れ親しんでしまったその言葉を、なるべく声を低くするように注意しながら吐き出す。 「悪いが俺は……」 その時だった。 ぞわり。 慣れ親しんでしまったそれ(・・)が辺りを覆い、無意識に肌が粟立つ。 次いで唸るような地響きと共に、少なくとも震度5はあるんじゃないかと思うような揺れに見舞われる。 「げ。」 「っ!危ないっ!」 そして俺やイケメン君が立っている場所に、普通では有り得ないような地割れが起き、道路に大きな裂け目ができた。 とっさの行動だったんだろう、有り難くもなくイケメン君に抱き込まれる。 そして俺たちはその裂け目に落ちていった。 落ちていく時の独特の浮遊感を感じながら思った。 ―嗚呼、絶対に厄介事だ― と。  
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