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だけど奇妙なことに痛みはない。
きっと大した事故ではなかったのだ。
ちょっと転んだだけでこんなに人が集まってしまったことに気恥ずかしい気分になってくる。
「あ、あの、大丈夫ですから!」
濡れた顔をぬぐいながら起き上がった私の目の前に妙な格好の男の子が立っていた。
歳の頃10…と言ったところだろうか。
マジシャンが鳩を出す時に使うような黒のシルクハット、服も黒で統一されたスーツに衿の立ったカッター。
髪は染めたのか地毛なのか見事な金髪だ。
大きな瞳の色も黄色って…カラーコンタクト?
今時の子供は親の人形なのか?
それとも本人が好んでこんな格好しているのか?
戸惑う私に対して、その男の子は突然変な事を言った。
「お前はもうすぐ死ぬ」
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