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あらぬ方向へ捻じ曲がった足、白いモノがはみ出た腹部、見開かれた目、大量の血液…。
「本当に…死ぬ…?」
こんな「自分」の姿を見ても《死》の実感が未だにない。
今の私の身体と何度も見比べる。
確かに顔を触っても、身体を触っても全く感触がない。
何とも不思議な感じがする。
「さあ、どうすんだ?
完全に死んじまったら契約できなくなるぜ」
男の子は白い手袋をした手で、雨に打たれ横たわる「死にかけの私」の頭を突いている。
しかし、その指は3D映像を触っているかのように手ごたえなく「私」の頭をすり抜けていた。
実際は私とこの子が映像みたいな感じなのだろう。
救急隊員にも、周りのギャラリーにもこの妙な男の子の姿は見えてないらしい。
この子…もしかして「死神」?
「バカだなお前。
「死神」が契約の話なんかするかよ」
初対面の大人に向かって「バカ」って…あれ?
心の中を読んだ?
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