鴉-KARASU-

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帰り道フェンスの上から 街を見下ろしてる鴉 居場所を失くしたかの様に 怨めしそうなその眼で 人間には分からないけど 孤独でいるのに疲れ果て 誰からも見て貰えぬと 聞こえぬ叫びを飲み込んで 人込みの中じゃ小さ過ぎて 誰から見向きもされなくて ただ 空白の中過ごす世界 命があるだけ 他には何もない 「好きでこんな身に 生まれたわけじゃないのに どうして貴方達は私の 存在を消してしまうの? こんな私だけど精一杯 力の限り生きているのに 何故?どうして? 教えてくれよ、なあ?」 近所の悪ガキ共にまた 石を投げられ去って行く 路地裏に木霊す笑い声が 何故か悪魔のように響いて 罪の意識なんてそんなもん あったらこんな事出来ない いつの間に人は物事を 二通りに分けて考えてんだ? 「貴方だって笑いたければ 好きなだけ笑うが良いさ どうせ私は見せ物だし 見ても減るもんじゃないから だけどほんの少しで良い 私の目線で考えてくれよ もしも 貴方なら 耐える事が出来ますか?」 夕陽の沈む方向へと 去って行く黒い影を追って 少し勇気が貰えた気がした そう 何となくだけど大事なモノ 「今はまだ影の中でしか 生きられないかも知れない だけど陽の当たる場所は 何処にだってあるさ でも おまえは嫌われ者かって そんな分けでもない筈さ 本当 心から 格好良く思えたよ…」
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