焦る不器用と笑う腹黒-kunisaki side-

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「…よく分かりませんが、 何の感情も『無かった』んです。貴方と件の篠原さんとやらを見………」 そこで、ぴたりと、 圭の口、その他の動作が止まった。 ……は?なんだ? 「なん――「ああ、すいません。俺としたことが、忘れてました。」 さっとソファから腰を上げ、 圭は俺の前に立った、と思えば、 腕を振り上げて―― ゴンッ!! 「いってええ!!」 思いっきり、拳を頭にたたきつけて来た。 「っ何すんだ!」 顔を上げると、俺をジロリと見下す…… ……あれ、なにこいつ。魔王? 怒ってるくせに笑顔ってのが、圭らしくはあるが、恐怖は倍増だ。 …黒い。圧倒的に、黒い。 「それはこっちのセリフです。何してんですか、貴方は。」 「はぁ!?」 何してる、だ!? 意味が分から…… 「…とぼけるようなら教えますけど、 俺とナツさんは見たんですよ? ―聖悟と女性が抱き合っているところを。」 !!!! 俺は一瞬にして口をつぐんだ。 何をまさか、と思ったが、 心当たりは、…あった。 鮮明にその情景を思い出すとともに、青ざめる俺。 「っ、おま、よりによってあんな……」 いや、時間にしてアレは数分だったはずだ。 なのに、なんてタイミングの悪い…っ! 「…俺らを責めないで下さいよ、偶然なんですから。それより悪いのはそちらでしょう。」 「…いや、あれはあいつが勝手に……っ」 「でも、事実は事実ですよ。見たことは取り消せませんし。」 さらりと言いながら見下したような視線を向ける圭。 ずいぶん他人事だな、オイ! いや、実際そうだけど! .
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