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「本城さん。」
「ちょっと」
「いいかしら?」
「(………すげぇ)」
高低組み合わさった、お譲様方の見事なハモリに驚嘆の限りです。
いっそハ●ネプ出てこい。君ら。
――
みなさん、御機嫌よう。
本城那津です。
国崎 聖悟という恋人ができてから一週間。
やはりというか、予想通りというか。
男の方が有名すぎるので、カップル成立の噂が回るのはあっと言う間で。
―――で、現在。
私は、陰険なお顔の女子の方々に囲まれております。
…まあ、これもある種予想通りだけどね。
うふふ。
「…ちょっと、聞いてるの!?」
んー、どうしよう。
ここで聖悟と待ち合わせだったんだけど、この女子壁で見つかるかどうか。
「返事しろよ、このブスが!」
ああ、でも逆に目印かな。分かりやすいって点で。
問題はヤツの方か。この中に入ってこれるのかっていう。
意外とへタレだしなぁ聖悟ってば。
「っ!聞・け・よ!!」
一番前にいる女子に、ガッと胸倉を掴まれる。
同時にスポン、とイヤホンが私の耳から滑り落ちた。
「……あ。ごめん聞いてなかった。」
「っこいつ、MP3で音楽聞いてやがった!?」
「なんて強者なのっ!?」
途端、ドヨッとざわめくメス共。
…ん、いや。
単なる雑音シャットアウト手段だったんですけどね。
私は仕方なく彼女らの方へと目線を向けた。
「…それで、何の用なんですかぁ?」
この問答も何回繰り返したことだろう。
呆れつつも律儀に聞く私ってすごいと思うよ?
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